はじめに
あなたは、朝起きた瞬間から「もう疲れた…」と感じたことはありませんか? 周りの賑やかな音、眩しい光、たくさんの情報…それらに圧倒され、一日が始まる前からぐったりしてしまう。
そんな経験を誰かに話しても、「みんな同じだよ」「気の持ちようじゃない?」と、簡単に片付けられてしまうかもしれません。まるで、自分が怠けているかのように思われてしまうことも…。
実は、このような感覚の鋭さは「感覚過敏」と呼ばれるもので、HSP(Highly Sensitive Person:ハイリー・センシティブ・パーソン)と呼ばれる、人口の約20%の人が持つ気質の一つです。
この記事では、感覚過敏について詳しく解説し、繊細な人が抱える生きづらさ、そして、彼ら彼女らが日々どれだけのエネルギーを使って生活しているのかについてお伝えします。
感覚過敏ってどんな感じ?
感覚過敏とは、五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のいずれか、あるいは複数に対して、通常よりも強く反応してしまう状態です。
例えば…
- 音: 街中の雑踏、工事の音、話し声、咀嚼音などが耐えられないほど大きく感じられる。
- 光: 蛍光灯の光、太陽の光、パソコンやスマホの画面の光が眩しくて辛い。
- 匂い: 香水、柔軟剤、食べ物の匂いなどが強く感じられ、気分が悪くなってしまう。
- 触覚: 特定の素材の服がチクチクして着られない、人の肌に触れるのが苦手。
- 味覚: 味が濃く感じられたり、特定の食べ物の食感が気になって食べられない。
このような刺激を過度に感じてしまい、日常生活の中で疲れやすくなったり、ストレスを感じやすくなったりするのが、感覚過敏の特徴です。
「みんな同じだよ」の一言で片付けないで
感覚過敏を持つ人にとって、日常生活はまるで刺激の洪水の中を泳いでいるようなものです。常にたくさんの情報が押し寄せ、それを処理するために膨大なエネルギーを消費しています。
そのため、朝起きた瞬間から疲れを感じてしまうのも、当然のことなのです。
しかし、このような感覚は目に見えないため、周囲の人には理解されにくいのが現状です。「みんな同じだよ」「もっと我慢しなきゃ」などと言われてしまうと、まるで自分が怠けているかのように感じ、さらに苦しくなってしまいます。
見えない努力、気づいてほしい「普通」の重さ
周りの人から見れば、感覚過敏を持つ人は普通に生活しているように見えるかもしれません。しかし、それは彼ら彼女らが「普通」を演じるために、必死に努力している結果なのです。
常に周りの刺激に気を配り、不快な刺激を避け、周りの人に合わせようと気を張っている。その努力は、想像以上に大きな負担となっています。
そして、家に帰ると、緊張の糸が切れ、疲れ果てて倒れ込んでしまう…。これは、決して甘えや怠慢ではありません。
一人でよくがんばったね。 あなたの頑張りは、きっと誰かが見ている
この記事を読んでいるあなたが、もし感覚過敏で悩んでいるなら、どうか自分を責めないでください。あなたは、人一倍繊細で、感受性が豊かなだけです。
そして、毎日たくさんの刺激と戦いながら、よく頑張っています。
あなたの頑張りは、きっと誰かが見ています。
もし、信頼できる人に話を聞いてもらえるなら、ぜひ自分の気持ちを打ち明けてみてください。
そして、自分自身の感覚を理解し、受け入れることが、生きやすくするための第一歩です。
最後に
感覚過敏は、まだまだ社会的に認知度が低く、理解されにくいものです。
この記事が、少しでも感覚過敏について知ってもらうきっかけとなり、繊細な人が生きやすい社会になることを願っています。